
「本格水冷をやってみたいけど、何が必要なのかわからない...」
「本格水冷はどんな仕組みになっているのか知りたい!」という方に向けて解説します。
内容として、水冷システムの仕組みや水冷パーツの役割と種類について、他にも、各水冷パーツの注意点もあわせてご紹介します。
個人的な解説になりますので、至らぬ点も多々あるかと思いますがご了承ください。
これから本格水冷に挑戦してみようと検討されている方などの参考にして頂ければと思います。
- 水冷システムの仕組みについて
- 水冷パーツの役割と種類について
- 水冷パーツの注意点について
水冷システムの仕組み
本格水冷はどのようになり立っているのかについて、下記の画像で解説していきます。

- リザーバタンクに冷却水を貯めておく
- ポンプが冷却水を送りだし循環させる
- 冷却水がウォーターブロック内を通り、CPUやグラフィックボードを冷やす
- ウォーターブロックで暖められた冷却水をラジエーターで冷やす
①~④の順で冷却水が循環し、水冷システムはなり立っています。
特に①リザーバータンク→②ポンプの順番は重要です。
理由はポンプの前にリザーバータンクがないと、ポンプ内部を冷却水で満たすことができず、ポンプがエアーをかんでしまいます。エアーをかんでしまうと、水冷システム内に冷却水を循環させることができません。
ポンプは基本的に冷却水を送り出すことはできますが、吸い上げることができません。
なので、水冷システムを組み上げる際は、ポンプ内部が冷却水で満たせるレイアウトにする必要があります。
各水冷パーツの役割と種類
ウォーターブロック(水枕)
ウォーターブロック(水枕)はCPUやグラフィックボードなどに取り付け、各パソコンパーツを水冷化するために必要となるものです。
※本格水冷の用語でウォーターブロック=水枕と表現します。
主に本格水冷を導入するメリットが大きいものとして、CPUとグラフィックボードの水冷化です。今回はCPUとグラフィックボードのウォーターブロックについて、簡単ですがご紹介したいと思います。
CPU用ウォーターブロック
CPU用のウォーターブロック(水枕)は、2つの種類があります。
1つ目はCPU単体を水冷化するためのウォータブロック(水枕)です。

2つ目はCPUとマザーボードのVRMを一緒に冷却するMonoblockタイプのウォーターブロックです。VRMはCPUと同様に高負荷時はかなり発熱するため、VRMを水冷化することでCPU周辺の冷却効果にも繋がります。

Monoblockタイプのウォーターブロックは「対応したマザーボード」でしか装着することができません。
その他にも、かなりハイエンドなマザーボードに限られますが、CPUとVRM、マザーボードのチップセットが1つになった一体型のウォーターブロックもあります。
マザーボードとウォーターブロックが一体型で販売している製品もあります。
グラフィックボード用ウォーターブロック
グラフィックボードのウォーターブロックは2つの種類があります。
1つ目はグラフィックボードのGPUチップのみを水冷化するものです。GPUチップのみしか水冷化できませんので、グラフィックボードの一部だけ水冷化と思ってください。
※他の部分にはファンなどを当てたり、ヒートシンクを装着したりする必要があります。
GPUチップしか水冷化できないというデメリットはありますが、マウンターを使用することで他のGPUチップにも使用することができるメリットもあります。
2つ目はグラフィックボード全体を水冷化するものになります。グラフィックボード全体をウォーターブロックで冷やせるので、他に手を加える必要はありません。
しかし、対応したグラフィックボードにしか使用できないというデメリットもあります。
対応したウォーターブロックの探し方
例えばCPUの場合、インテルCPUのLGA1151ソケットならすべてOK、と言ったように比較的わかりやすく見分けることができます。
しかし、グラフィックボードの場合はGPUチップ(RTX2080など)が同じだとしても、発売しているメーカーによって基板のレイアウトなどが異なるため、同じGPUチップを使用していたとしてもウォーターブロックが対応していないということもありえます。
ウォーターブロックを販売しているEK water blocks社の「EK water blocks configurator」というサイトページで、自分の使用しているグラフィックボードがどのウォーターブロックを使用できるのか確認できます。
グラフィックボードを水冷化したい場合、まずは自分の持っているグラフィックボードの対応ウォーターブロックが存在するのか、確認する事をオススメします。
>> EK water blocks configuratorのページはこちら
- ページ中央のSelect your:からVideo cardを選択
- Brandからグラフィックボードメーカーを選択
- GPU seriesで自分の持っているGPUチップを選択
- Manufacturerが表示されたら販売メーカーを選択
- Video cardの項目で自分の使用しているグラフィックボードモデルを選択
- 最後にGOボタンを押す
ラジエーター

ラジエーターは水冷システム内に使用されている冷却水を冷やす役割を担っています。CPUやグラフィックボードなどの熱を冷却水が吸収し、ラジエーター内で冷やします。
ラジエーターの大きさによって、冷却できる熱量が変わってきます。
ポンプ

ポンプは水冷システム内の冷却水を循環させるためのものです。
水冷システム内にウォーターブロックやラジエーター、他にもクイックリリースなどを多く使用すればするほど冷却水の流れが悪くなり、ポンプのパワーが必要になります。
主流なポンプはDDCポンプ、D5ポンプです。
ポンプとリザーバータンクが一体型のものはポンプハウジングが不要な場合もあります。
フィッティング

フィッティングはウォーターブロックやラジエーターなどにチューブを固定させるために使用するものです。フィッティングはウォーターブロックなどに取り付ける部分のネジ径がG1/4規格のものが主流です。
私は内径3/8インチ、外径1/2インチのソフトチューブ用フィッティングを使用しています。(※英語の場合、内径=ID、外径=ODと表記されています)
各水冷パーツに2個づつ必要になります。水冷パーツのIN(入口)に1個、OUT(出口)に1個使用します。
主に使用するフィッティング
フィッティングの種類としてストレート、45度ロータリー、90度ロータリーのものを主に使用します。
ストレートだけでも水冷システムのチューブ配管は可能ですが、45度と90度のものを使用することで角度がきつい部分など綺麗に仕上げることができます。
他にも、角度がきつい場合にチューブが折れてしまうのを防ぐ役割もあります。

ロータリーフィッティングの特徴
ロータリーフィッティングは根元を固定した状態から、回転できるのが特徴です。以下の画像では少ししか動かしていませんが、実際には360度回転させることができます。

調整画像
その他にも使用するチューブの規格によって異なります。
チューブ

チューブは各水冷パーツを連結させるために使用します。
チューブはソフトチューブとハードチューブの2種類になります。
ソフトチューブ
ソフトチューブは柔らかい素材のチューブです。
ご自宅で庭に水まきをするためのホースや、お風呂のシャワーホースに近いものとイメージして頂ければわかりやすいかと思います。
また、ソフトチューブにもいくつか種類があり、柔らかいものから少し硬めで曲げに強いものもあります。
ソフトチューブはハサミなどでもカット可能ですが、専用のチューブカッターを使用することでチューブの切断面を綺麗にカットすることができます。
※チューブの切断面がガタガタになっていると、そこから水漏れしてしまうリスクもあります。
私はPVC製の内径3/8インチ、外径1/2インチ規格のソフトチューブを使用しています。
ハードチューブ
ハードチューブは硬いチューブのもので、そのままでは手で曲げることができません。
ハードチューブはヒートガンというものを使用し、熱して加工することができます。

ハードチューブは長く綺麗な直線を描く配管や、直角な配管を組む場合に的しています。他にも、ソフトチューブよりも見た目が綺麗に仕上がるメリットがあります。
ハードチューブの場合、一度組んでしまうと水冷パーツの移動などが困難になるためです。
リザーバータンク

リザーバータンクは冷却水を貯めておく役割を担っています。他にも、冷却水の追加や、水冷システム内に入ったエアーを抜く場所でもあります。
リザーバータンクの形や大きさは様々なものがあります。リザーバータンクが大きさいからと言って、水冷システムの冷却効率が上がるというわけではありません。一度に多くの冷却水を貯めておく事ができる、あとは水冷システム全体の冷却水の量が多くなるという違いだけです。
私の使用しているリザーバータンクは単体のものですが、リザーバータンクとポンプが一体型になって使用できるものもあります。
冷却水(クーラント)

冷却水は水冷システム内のウォータブロックを冷やしたり、暖まった熱を運搬する役割を担っています。
冷却水はストレート(薄めずそのまま使える)のものと、精製水で希釈(薄めて)使用するタイプの2種類があります。
様々な色の冷却水がありますので、お好みで選んでください。
まとめ
私も本格水冷未経験の時は「本格水冷に挑戦したいけど、何が必要で何がどういう仕組みになっているのかさっぱりわからない」という完全無知の状態ではじめましたが、今ではメンテナンスも難なくできるようになりました。
本格水冷を始めてみたい方は、とにかく一度本格水冷を組んでみてください。大がかりなものではなく、CPU単体だけ水冷化する形だけの簡単なものからチャレンジすると良いと思います。
「水冷パーツの選定がちょっと...」という方は、本格水冷キットになっているものを購入し、導入してみるのでもいいと思います。
一度組み上げてみれば本格水冷の要領もわかります。後々更に水冷システムを強化したい場合には、ラジエーターやウォーターブロックを増設していけます。
本格水冷を検討している方へ、参考になれば幸いです(^^)/
他にもパソコン関係の記事を紹介しています。




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